PERの計算は前期と当期予想どっちの純利益で考えるべきか?
PERとは、以下の計算式で算出される指標です。
非常にシンプルな式ですが、非常に美しい式です。
分子に株価、分母に純利益があることで株主の1株当たりの儲け(純利益)に対し株価はどのくらいなのかということがわかります。
今回はこのPERについて少し掘り下げる為に、株価と1株当たり純利益というパラメーターをそれぞれ考えてみましょう。
株価というものは、本当に分からないものです。会社の経営状態も反映しますし、世界の経済状況も関係しています。
株価に関係するパラメーターはいくつもあり、将来どうなるのかとかそういったことは一切分かりません。
行き当たりばったりな変数ですよね。
一方、一株当たり純利益について考えてみましょう。
純利益は前期がいくらの純利益だったのかということはすでに分かっていますよね?(現在が2017年度であれば、2016年度の純利益は確定しています)
つまり、前期は変数ではなく定数となっています。当然、当期純利益というのはこれから出されるものなので、まだどうなるか分からない数値です。
となると、PERを考える際には、どうなるか分からない数値を二つ(株価と当期純利益使用するよりも、確定している純利益(前期純利益)で計算した方が良い気がしますね!
けど、実際には投資先として考える場合、純利益は将来の数値を使用した方が良いのです!
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PER計算に用いる数値「純利益」は将来の純利益を使用した方がいい理由
理由1:将来の純利益であったとしても、信頼できる数値である
ある程度役職が上だったり、営業に関係するような人だったら身近なことなので分かると思うのですが、会社は来年、さらには再来年や3年後にどのくらい収益があるのかといったことを予想します。
すでに、お客様から注文頂いている案件、注文が予想される案件、努力すれば注文されそうな案件。そういったものを全てまとめて、将来的な予算(収益の計画)を作成します。
そして、予算をつくった上で、業務を回していきます。
例えば、3月決算の会社の場合を考えてみましょう。
当期の売上は120億という計画を立てているというのに、半年たった9月の時点で50億しか売上がありません。
本来なら9月には60億の売上があるという計画を立てていたのに、これは大変なことです!
会社の予算というものは、個人が掲げる目標とはレベルが違います。普通は絶対に達成しなくてはならないものです!
そうしないと、親会社だったり、株主だったりに怒られます。
その為、「何としてでも売上を上げろ!」ともっと頑張るように社員に発破をかけ、何とか達成するように努力します。
そのようにして、会社は予算を達成するように努力するものなので、将来的に予想されている一株当たり純利益というものも、ある程度信ぴょう性のある数値と言えるのです。
普通であれば、プラスだった一株当たり純利益がいきなりマイナスになりましたとかは有り得ないことなのです。
(東芝はそんなウルトラCをやりましたけどねw)
当期純利益やもっと先の将来的な純利益は、会社としては適当に決めているわけではなく、経営者達が達成可能だろうという判断のもと決めた数値なので信頼できる数値なのです。
理由2:PERで重要なのは、現在株が割安かではなく将来割安なのかどうか
私達投資は、なぜ株に投資するのかというと、将来の株の値上がりを期待して投資します。株の値上がりを期待している以上、将来の利益を考えてあげた方が参考になるのです。
ちょっと例をあげてみましょう。
- 企業A
- 企業B
株価:2,000円
前期一株当たり純利益:50円(PER=40)
当期一株当たり純利益予想:200円(PER=10)
株価:2,000円
前期一株当たり純利益:200円(PER=10)
当期一株当たり純利益:100円(PER=20)
こんな二つの企業があったとします。
企業Aを考えてみますと、現在PERが40です。お世辞にも安いとはいいづらいですね。しかし、当期の純利益の予想がかなり大きいです。なんと、50から200へと急に業績がアップするみたいです。
となると、現在のPERで考えると割高ですが、将来のPERで考えると割安ですね。
もし、利益に比例して株価も上がるとするならば、当期の純利益が前年の4倍になっているんですから株価も4倍になるはずです。
そうすると株価は8,000円まで上がることが予想されるので、企業Aの株は買った方が良いことになります。
企業Bを考えてみますと、現在PERが10です。PERの平均が20前後であることを考えると割安です。しかし、当期の純利益の予想がかなり小さいです。なんと200から100へとダウンするみたいです。
となると、現在のPERで考えると割安ですが、将来のPERで考えると相対的に割高ですね。
もし、利益に比例して株価も下がるとするならば、当期の純利益が前年の1/2倍になっているんですから株価も1/2倍になるはずです。
そうすると株価は1,000円まで下がることが予想されるので、企業Bの株は買わない方が良いことになります。
上記したように、企業Aは前期PERで考えると割高ですが、当期PER予想で考えると割安です。理想通りいけば、6,000円も得することになります。
一方、企業Bは前期PERで考えると割安ですが、当期PER予想で考えると割高です。ここに投資してしまうと、損するかもしれませんね。
この例は、企業の業績のみに比例して株価が変わるという、あくまで理想論的な考え方です。実際には株価というものは色々な要素が関係しますから、一概にはこの例の通りにはなりません。
しかし、企業の業績が株価を決める強いパラメーターであることは事実です。
よって、企業A,Bの例で見て頂いたように、PERというものは将来的な数値で見てあげる方が良いのです。
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