ROEについて考える5つのポイント

ROEについて考える5つのポイント

ROEについて考える5つのポイント

ROEは株を購入する上で非常に重要な指標です。
なぜならば、ROEを見ることで、どのくらい株主資本(株主のお金)を効率的に使うことができているのかということが分かるからです。

 

ROEの計算式は非常に単純な式となっており、以下の式で表されます。
ROE計算式

 

 

基本的にはROEは高ければよく、ROEが高いと値上がりしやすい成長株であるということができます。
(ROEの基本的な説明に関してはROE~株主利益の指標~を御覧ください)

 

ただPERのときもそうでしたが、ROEも計算式は単純だとしても考えるべき要素は多く、非常に奥深いものとなっております。
(関連記事:株初心者のためのPER(割安の指標))

 

ただROEが高ければいいと思うと、痛い目を見る可能性すらあります。
今回はROEを考える上で注目するべき5つのポイントを整理してみました。

 

 

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ROEについて考える5つのポイント

ポイント1:自己資本比率の高さ

ROEは上述したとおり、株主資本(自己資本)をどれだけ効率的に使うことができているのかということを考えるための指標です。
ここで気をつけなくてはいけない点は、あくまでも自己資本という点です。

 

再度、ROEの計算式を見てみましょう。
ROE計算式

 

分母が一株当たりの純資産で分子が一株あたり純利益となっております。
もし純資産(自己資本)を少なくし、純利益を大きくすることができればROEは大きくなっていきます。

 

つまり、負債を増やしていくことで見かけ上ROEを大きくするすることができてしまうのです。

 

お金をたくさん借りることができるほどのすごい企業、という見方ができないこともないですが、普通に考えると負債の大きい企業というのはリスクの高い企業なので、長期投資的には避けたいところです。
負債(借金)を抱えてしまうと、金融危機が起きた際に倒産リスクが高くなりますからね。

 

世界一の投資家、ウォーレン・バフェットも有利子負債のない企業に投資することを推奨しています。

 

 

 

 

自己資本が大きいのかどうかは自己資本比率で考えてあげるといいでしょう。
自己資本比率が高い中で、ROEも大きい企業というのは優良企業である可能性があります
(関連記事:自己資本比率~安全性の指標~)

 

 

 

ポイント2:配当金が大きさ

株主がROEを重視して投資をします。このことはもはや常識と言っても過言ではありません。
常識的考え方なので、会社の株価が上昇してほしいと考える経営者はROEを大きくすることを考えます。

 

ROEが大きくなれば長期投資家から注目され、株の人気が出て値上がりが期待できるわけですからね。
経営者は株価をあげることができれば、自身が株を所有していた場合も値上り利益(キャピタルゲイン)を貰うことができますし、経営者としての給料もあげることができるでしょう。

 

よって、ROEを上げたいと考える企業(経営者)は多いです。

 

ROEを上げるために経営者ができることの1つとして挙げられるものが、配当金を増やすということです。

 

配当金を増やせば内部留保が少なくなる(純資産が減る)ので、ROEは大きくなっていきます。

 

配当金を増やすということは、株主還元政策として既存の株主にも喜ばれますし、ROEが大きくなることで投資家からの注目度も高まります。

 

そういった視点から、アメリカの企業では配当金が高く、ROEも大きい場合が多いですね。
日本の企業は不要にお金を貯め込む習性を持っているので、どうしても内部留保は大きくなりROEは低くなりがちです。

 

 

配当金は定期的に入ってくるお金なので喜ぶ株主は多いのですが、私は配当金の大きさにさほど大きな魅力を感じていません。
なぜならば配当金を増やすということは長期投資の魅力である複利効果が減少するということでもあります。
(関連記事:長期投資による複利効果の恩恵を受けるべし!)

 

企業が内部留保を上手く使って、そのお金をさらに増やしてくれるようであれば、最大限に複利効果が働いて結果的には株主へ最大限の利益がもたらされるのですが、そういった企業は少ないですし、それを喜ぶ株主も少ないというのが現状なんですよね(´・ω・`)

 

配当金として株主に還元してしまうと、税金が取られてしまうから複利効果が弱まってしまうのに・・
(関連記事:無配当企業でも悪い企業ではない!)

 

 

 

そう考えると、配当金を払っていないのにROEが高い企業というのは、かなり有望株である可能性が高いですね。
例えばですが、株式会社じげんの伸びはすごいですよね。

 

 

 

 

 

ポイント3:自社株買いはしているか

自社株買いも配当金増額と同様に、株主還元政策でもあり、ROEを高める政策でもあります。

 

基本的にお金を使えば純資産が減るので、ROEは高くなりやすくなります。
自社株買いもお金を使う政策なので、ROEは上昇します。

 

内部留保が余っていて、ROEが低くなっている場合は自社株買いによるROE改善も近いのかもしれませんね(^^)

 

ちなみに、自社株買いには償却と処分があるので気をつけて下さい。
(関連記事:自社株買いの株価が上がる仕組みとその罠)

 

 

ポイント4:特別損益の有無

もし特別損益が発生してしまっていると、ROEが一時的に高くなってしまう、もしくは低くなってしまうことになり、ROEの指標による評価が間違ってしまうということになりかねません。

 

企業というのは、企業の本業以外に特別に利益が発生(事業の売却益等)したり、損失が発生(損害賠償金等)するということがあります。
そういったお金というのは、一時的なものであり、それを含めて考えてしまうと起業の本来の価値というものが分からなくなってしまいます。

 

特別損益を頭に入れておかないと、ROEが20%とかなり高く優良株だと思って購入したが、良かったのはその年度だけで、次回以降は5%程度のROEで株価が全然値上がりしなかったという自体も大いに考えられます。

 

特別損益が小さい額であれば、別に気にしないでいいのですが、大きい場合は特別損益分を差し引いて実質純利益を算出し、ROEを計算しなくてはなりません。

 

特別損益が大きいかは経常利益と税引前純利益を比較することで簡単にわかります。
(関連記事:利益の種類)

 

 

 

ポイント5:税金の計上

ROEは一株当たり純利益(EPS)が大きければ、それに伴い増加するということはROE~株主利益の指標~でも詳しく説明していますし、この記事内でも何度か説明しています。

 

さて、この一株当たり純利益ですが、企業の実力以上に大きくなってしまう要因が2つあります。
そこを意識しておかないと、購入を後悔する羽目になるかもしれませんよ?
株は決して安い買い物ではないので、なるべく失敗したくないですよね。

 

1つはすでに説明していますが、特別損益による一時的な利益発生です。これは経常利益と税引前純利益を比較すれば一瞬で判断することができるんでしたね。

 

 

 

もう1つは前年度の赤字などの理由で支払うべき税金を支払っていない場合です。
企業は3年間までの損益通算が認められていますからね。

 

3年以内に赤字を出していた場合は、損益通算により支払うはずの税金を支払わず、純利益が通常時よりも大きくなり、結果的にROEが大きくなってしまうということがありえます。

 

企業が支払う税金には大きく3つ所得税法人住民税法人事業税が挙げられます。
これらを合計すると大体40%程度になります。

 

よって四季報のようなもので純利益を見る際には、過去数年の税引き前利益と純利益(税引き後利益)を比較してあげましょう。
もし当期純利益が普段(大抵の企業は税引き前利益×約0.6=純利益となる)よりも大きくなっている場合は税金がちゃんと引かれていない可能性を疑って下さい。

 

もし払っていない場合は、実質一株当たり純利益を計算し、実質ROEを計算するようにしましょう。
実質一株当たり純利益は普段の税金の割合分を税引き前利益から引いてあげることで簡単に求めることができます。

 

 

 

さいごに

ROEはPERと同様にかなり株主から重視される指標の1つです。
是非ともこういった指標を使いこなせるようになりたいものですね(^^)

 

 

 

 

 

 

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