株は急落したものを買えば儲かる?
私が株をやっているということを株の未経験者に話すと、彼らは決まって「株は急落したものを買えば儲かるんでしょ?」と聞いてきます。
私はこの言葉を聞くと悲しくなります。やはりみんな株式投資を投機やギャンブルとしてとらえているのではないかと思ってしまうのです。
急落した株がその後浮上しやすいのは確かです。株というものは人間の心理を反映するものなので、株価が下がったら上がるだろうとみんなが思えば、その気持ちに株価は従順に反応するのです。
しかし、安易な急落株への投資は非常に危険です。
今回は私が株の体験談をもとに「株は急落したものを買えば儲かる?」ということについて考えていきます。
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東芝株について
私は2016/01/02に株の未経験者と会話をして、ひょんなことから株投資の話になりました。
そしてその株未経験者は私に言うのです。
「今、東芝株を買ったら絶対に儲かるよね?」
まだ記憶にある方もいるかもしれませんが2015年2月に東芝は粉飾決算の内部密告があり、5月に粉飾決算が発覚。1年たった2016年初頭も株価が暴落の真っただ中にありました。
株未経験者の質問に対して私がした話はこうです。
「多分上がると思いますし儲けられる可能性も結構あります。けど、まだ下がるかもしれないし東芝の粉飾決算は結構悪質だったからそんな会社は信用しない方が良いです。そういった投資方法は何回か成功できるでしょうけど、いつか痛い目見ると思います」
そして、東芝は二回目の不正会計が発覚しました。万が一東芝株を買っていたら、一喜一憂が激しくて仕事が手につかなかったかもしれませんね笑
この東芝の例をもとに「株は急落したものを買えば儲かる?」ということについて解説していきます。
私は、もちろんそんな投資はするべきではないという立場のもとの解説です。
粉飾決算により急落した株を買うべきでない理由
理由1:そもそも買い時が難しい
まず第一に粉飾決済による急落は株の買い時がとても難しいと思います。今回株の未経験者と話したのは2016年1月でしたが、東芝の株が急落を始めたのは2015年の5月からです。
恐らくこの下がり続けた期間(2015年5月~2016年初頭)に東芝株を買った人は、みんな「東芝株はいつか上昇するだろうから今が買い時だ」と思ったことでしょう。
もし、2015年9月位に購入していたとしたら、その後2016年2月頃まで株価は下落を続けたことになります。
残念ながら、いつまで下落が続くのかなんていうことは分からないので、下落株は買い時というのが難しいのです。
最悪、下落したまま債務超過で倒産なんてこともありうるでしょう。
不正会計や粉飾決済というわけではありませんが、エアバック会社として有名なタカタは損害賠償金が重しとなって急落したまま浮上することなく上場廃止となってしまいました。下落株はこういったリスクがあるんですよね。
(関連記事:タカタのマネーゲームが始まる?)
理由2:下落し続ける株を持ち続けるメンタルがあるのか
安易な注文をする人に限って、下落し続ける株を持ち続けるというメンタルがありません。
下落株は、理由1でも説明したように底値で買えるなんていうことは稀です。最初は何%も買値から下がっていくことでしょう。
ちょっとした例を挙げてみましょう。
1,000円だった株が300円まで急落し、800円まで上昇するという場合を考えてみましょう。
1,000円が600円になれば40%も下落しているわけですから、あなたは「これだけ下落していればかなり割安な株だろう」と考え購入します。
しかし、600円からもみるみる下落していき、株価は300円にまでなりました。
あなたが購入した金額よりも50%も下がってしまっています。
今後上昇するかどうかわからない中で、あなたは本当にこの株を持ち続けている自信があるでしょうか?
もしかしたらスカイマークやタカタのように二度と上昇しないのではないかという考えが頭をよぎったとしてもその考えを振り払い株価の下落に耐えることができるでしょうか?
結果的にみるとこの株は300円になった後に800円に上昇していますが、それは結果論であって、下落局面ではとてもそんなことをイメージする余裕はありません。
この株を購入したあなたの資産が微々たるものだったら、株価が半分になっても精神的に負担にならないかも知れません。ただ、もしもあなたは数回下落株の購入で成功経験があり、資産の半分以上をこの下落株に費やしていたとしたらどうでしょう?
今までコツコツと築いてきた資産がみるみると減っていくのを目の当たりにし、それでも大丈夫だと平生を保っていられるでしょうか?
(関連記事:株が気になって仕方がない場合は保有株の金額を減らした方がいい)
安易に急落株に飛びつくと痛い目を見ることは目に見えています。そもそも下落株を割安と考えてしまっていたことも間違いですね。
(関連記事:1.【PERを学ぶ前の導入】「割安」ということについて考える)
理由3:売り時がいつなのかも分からない
ある程度上手く東芝株を変えたとしましょう。では、今度は果たして売り時はいつなのでしょうか?
今回の東芝の件を考えれば分かると思いますが、東芝は2回目の不祥事が2016年12月に発覚していますのでそれまでに売りぬけなければいけませんでした。
それができて、初めて急落株で儲けるということができたのです。
果たしてその判断が急落株を買った人にはできたのでしょうか?
上がり続ける株を所持して、「まだ上がる、まだ上がる」なんて思い続けてしまって売り時を逃した人はたくさんいるのではないでしょうか?
さらには、「これだけ上がっていくんだから買い増した方がいい」という判断をした人もたくさんいるでしょう。なんせ、株価が上がっていくということはその株を欲しがっている人が多いということですからね。
結果論として2016年の2月位に東芝株価は底値を向かえたので、株未経験者が言う2016年1月はそこそこいい買い時でした。
しかし1月初頭の株価は220円程度で、2月の底値を迎えた頃は160円弱まで株価が落ちています。良い買い時といっても40%程度の値下がりをしています。
株未経験者は果たしてたった1ヶ月で40%も下がっていく株価に対し、株を持ち続けるメンタルがあったのでしょうか?
さらには、12月の不祥事発覚までにタイミングを逃さず売ることができたのでしょうか?
そういう取引ができる自信がないのであれば、やはり急落株に手を出すのは危険なのです。
株初心者は急落株には安易に手を出さないのが無難
結局は、急落株に安易に手を出さないのが無難な選択です。
私も投資開始初期の頃は、急落株ばかりチェックしていました。
特に、今では上場廃止となっているスカイマークの株価を毎日見ていました。
スカイマークは民事再生法申請直前はいくつかのニュースによって上下が激しかったのでポジティブニュースが流れ株価が急騰するたびに「うわっ、やっぱり買っておけばよかったんだ・・」と思っていました。
そして結局は事実上の倒産をスカイマークは向かえ、株はタダの紙くずとなりました。
この時はかなり反省しました。
そもそも長期投資家として、経営の危ういスカイマークを狙うこと自体間違えていたんです。
急落株へ投資する恐さを思い知りました。
それ以来、急落株へ投資をする際は慎重に情報を収集し、危険なのかどうかを判断するようにと考えるようにしています。
そこそこ株を勉強している私でも急落株への投資は難しいと思っているので、株未経験者が手を出すのはちょっとリスクが高すぎる投資でしょう。
そもそも、急落株を狙うというのはすぐに株価が上がって儲けられるだろうという株未経験者が陥りやすい卑しい心理が見え隠れしています。
株投資はそういうものではありません。株投資は割安で価値の高い企業へ行うものなのです。急落株というものは、確かに割安になっているかもしれませんが企業価値まで落ちていないかの判断も重要となります。
東芝の場合は、かなり悪質な粉飾決算をしていたので、企業価値もかなり落ちたと判断するべきなのです。そんな企業の株を買うという行為は、投資ではなく投機やギャンブルと呼ばれるものになります。
そういったところまで理解できるようになってから、初めて急落株の購入を検討するべきかどうか判断をしてよいレベルになると思います。
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